注文住宅の費用内訳を徹底解説|総額はいくらで何にかかるの?

家づくりの予算は「何にいくらかかるのか」が見えにくく、不安を抱える人が少なくありません。建物だけでなく土地・諸費用まで幅広く発生するため、全体像を知らないまま計画を進めると後悔につながります。この記事では、費用内訳の基準を整理し、安心して判断できる土台をつくります。
この記事を読むメリット
- 全国平均の費用内訳が数字でわかる
- 建物、土地、諸経費、家具家電それぞれで必要な支出を整理できる
- ランニングコスト(固定資産税・光熱費・修繕費)の目安がつかめる
- イニシャルコストと長期費用の違いを理解できる
- 予算計画で注意すべきポイントが把握できる"
1. 【全国平均】平均的な費用感を知る重要性
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マイホームを建てるとき、「全体でどれくらいの費用がかかるのか」が気になる方は多いでしょう。資金計画の出発点として、最新の調査データを確認しておくことが大切です。
注文住宅の購入資金は平均6,188万円
国土交通省の調査によると、注文住宅の平均購入資金は6,188万円。この金額は建物だけでなく、土地の購入費用等も含めた合計額です。
建物代と土地代の目安は2:1
一般に、建物代と土地代の比率はおおよそ2:1とされています。具体的な数値として、次のデータが参考になるでしょう。
- (全国平均)注文住宅住宅建築資金:4,695 万円(土地購入資金を除く)
- (全国平均)注文住宅土地購入資金:2,082 万円
- (三大都市圏平均)注文住宅住宅建築資金:5,243 万円(土地購入資金を除く)
- (三大都市圏平均)注文住宅土地購入資金:3,043 万円
ただし、この金額はあくまで全国平均。都市部では土地代が高く、地方では逆に建物代の比率が大きくなるなど、地域や立地条件によって大きな差が出ます。
基準を持ちつつ余裕をもって考えることが重要
注文住宅の費用は平均6,188万円を一つの基準として押さえておくと安心です。ただ、実際は地域性や家族の希望によって金額が大きく変わってきます。想定外のことが起きることも考慮し、余裕を持った見積もりを立てるようにしましょう。
2. 【イニシャルコスト】はじめにかかる費用は?

住宅購入におけるイニシャルコストとは、建物が完成し入居するまでにかかる初期費用のことです。注文住宅では「建物費用+土地費用」に加えて、「地盤関連、付帯工事、住宅ローン手数料、登記」など、多岐にわたります。
この章では、それぞれの費用の内容と全国平均の目安を整理します。
土地費用
土地を購入した注文住宅世帯の土地購入資金は、全国平均で約2,100万円です(年度により変動あり)。
土地費用には以下が含まれます。
- 土地代(本体価格)
- 仲介手数料(不動産会社)
- 土地取得時の税金(登録免許税・不動産取得税など)
- 土地契約にかかる印紙代
- 地盤調査費(5〜10万円程度)
特に都市部では土地価格が総予算の多くを占めるため、エリアによって負担が大きく変わります。
建物費用
注文住宅の建築費(建物にかかる費用)は、全国平均で4,695万円です。
建物費用には次のような項目が含まれます。
- 建物本体価格(構造・設備・仕様)
- 設計費(建築士・ハウスメーカーの設計料)
- 付帯工事費(外構、照明、カーテン、給排水工事など)
- 地盤改良費(発生する場合は数十万〜100万円超)
- 仮設工事費(足場など)
注意点:
建物費用は、仕様・工法・延床面積などで最も上下しやすい項目です。設備のグレードアップや間取りの変更により、100〜300万円単位で変わることも珍しくありません。
登記費用・住宅ローン関連費用・保険など諸経費
建物完成までに必ず発生する「その他の初期費用」です。平均金額は住宅ごとに異なりますが、一般的には数十万〜100万円台となります。
主な項目
登記費用(20〜40万円程度)
- 所有権保存登記
- 抵当権設定登記(ローン利用時)
司法書士報酬と登録免許税が含まれます。
住宅ローン関連費用(10〜40万円程度)
- 融資手数料(定率 or 定額)
- 事務手数料
- 保証料(金融機関により異なる)
火災保険料(5〜20万円/年)
初年度の保険料は必ずイニシャルに含まれます。
印紙代(1〜2万円)
土地売買契約・建築請負契約の2つ分が必要です。
引っ越し・家具家電(平均159万円)
注文住宅建築を機に購入される家具・家電などの合計額は、全国平均で159万円です。
家具・家電(エアコン、冷蔵庫、カーテンなど)は見落としやすく、実際にはまとまった出費になります。
まとめると、注文住宅のイニシャルコストは、
土地(〜2,100万円)+建物(4,695万円)+諸経費(50〜120万円+家具家電平均159万円)
という形で積み上がります。
特に注意したいのは、
- 地盤改良などの“想定外の費用”
- 家具家電など引っ越し後すぐ必要な項目
- 外構・付帯工事の増額
など、予算から漏れがちな部分です。
イニシャルコストを正確に把握することで、完成後の資金不足を防ぎ、安心して家づくりを進めることができます。
(出典:家計調査(総務省))
3. 【ランニングコスト】注文住宅完成後も定期的にかかる費用はある?
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注文住宅では、家が完成した後も、暮らしを維持するために毎年さまざまな費用が発生します。これらは総称して「ランニングコスト」と呼ばれ、住宅ローンに含まれない支出のため、あらかじめ把握しておくことがとても大切です。
主な項目は、光熱費・固定資産税・火災保険料・修繕費用などです。以下で、それぞれの費用感を確認していきます。
光熱費用(年間 約20〜35万円)
光熱費は、家の広さ・断熱性能・家族構成によって大きく変わります。
一般的な30坪前後の注文住宅の場合、次のような金額が目安になります。
- 電気代:月1.0〜1.8万円
- ガス代:月0.7〜1.2万円
→ 年間合計 約20〜35万円
家計調査(総務省)によると、世帯全体平均の光熱水道費は以下です。
- 光熱・水道:23,111円/月
これは全国世帯の平均値ですが、注文住宅の実勢にも近い水準と言えるでしょう。
固定資産税(年間 約10〜18万円)
固定資産税は、土地と建物の評価額に応じて毎年かかる税金です。
一般的には次のような金額となることが予想されます。
- 土地評価額:800〜1,200万円ほど
- 建物評価額:1,200〜1,800万円ほど
→ 年間税額の目安:10〜18万円
新築住宅は「3年間軽減(長期優良住宅は5年間軽減)」される制度があるため、最初の数年間は負担が下がります。
- 火災保険料(年間 約1〜2.5万円)
火災保険は、契約内容・構造・地域によって金額が変わります。
制度改正により最長契約が5年になったため、以前より更新のタイミングは短くなっています。
一般的な木造2階建て(延床30坪前後)のケースでは、
- 火災保険:年間1〜2万円
- 地震保険:年間1〜3万円(地域により差が大きい)
が相場とされています。
修繕・メンテナンス費(年間 約10〜25万円相当)
注文住宅は自分で維持管理を行うため、建てた後も一定の修繕費がかかることが予想されます。
外壁塗装・屋根・給湯器・水回りなどは必ず劣化します。そのため、長期的には次のような支出が見込まれます。
- 外壁・屋根塗装:100〜160万円(10〜15年周期)
- 給湯器交換:20〜40万円(10〜15年)
- トイレ交換:15〜30万円(15〜20年)
- クロス貼り替え:20〜40万円(10〜15年)
これらを平均して、
「年間10〜25万円ほどの積立を想定しておくと安心」
というのが一般的な考え方です。
その他のランニングコスト
注文住宅特有の維持費として、次のような項目もあります。
- 庭木・植栽の剪定:数千〜数万円
- 設備の更新費(エアコン・家電の交換など):10〜25万円/台(10〜15年周期)
- 浄化槽地域の維持費:年間3〜5万円
- 町内会費・ごみ処理費:地域によって数千〜数万円
これらは地域差が大きいため、実際に住む自治体のルールも確認しておく必要があります。
ランニングコストまとめ
項目 | 目安(年間 or 周期) |
|---|---|
光熱費 | 20〜35万円/年 |
固定資産税 | 10〜18万円/年 |
火災・地震保険 | 1〜5万円/年 |
外壁・屋根修繕 | 100〜160万円/10〜15年 |
給湯器交換 | 20〜40万円/10〜15年 |
トイレ交換 | 15〜30万円/15〜20年 |
クロス張替え | 20〜40万円/10〜15年 |
庭木・植栽管理 | 数千〜数万円/年 |
浄化槽管理 | 3〜5万円/年 |
注文住宅に住み続けるためのランニングコストは、 光熱費+固定資産税+保険+修繕費用 を合計し、年間おおよそ 40〜70万円前後 になるケースが一般的です。
住宅ローンの返済とは別に毎年必ず発生する支出のため、あらかじめ余裕を持って計画に入れておくことが大切です。
(出典:令和6年度住宅市場動向調査報告書)
(出典:家計調査(総務省))
4. 費用内訳具体例(全国平均)

全国平均:注文住宅(土地購入あり)の費用内訳
前提目安データ
- 住宅購入資金の平均:6,188万円(注文住宅・全国)
- 住宅建築資金(建物のみ):4,695万円(全国平均)
- 土地購入資金(全国平均):2,082万円(※土地購入世帯の平均)
- 家具・家電など耐久消費財の平均購入額:159万円
表:全国平均の費用内訳(目安)
項目 | 金額の目安 |
|---|---|
住宅購入資金(建物+土地+諸費用) | 6,188万円 |
建築費(建物+付帯工事など) | 4,695万円 |
土地購入資金(全国平均) | 2,082万円 |
家具・家電など耐久消費財 | 159万円 |
総額イメージ(住宅+家具家電) | 約6,300〜6,400万円 |
あわせて、内訳の割合の一般的な目安も見ておきましょう。
表:全国でよく使われる内訳割合(パーセンテージ)
項目 | 割合の目安 | 説明 |
|---|---|---|
建物本体価格 | 70〜80% | 構造・仕上げ・設備などの本体工事費 |
付帯工事費 | 10〜15% | インフラ引き込み、造成、地盤改良など |
諸経費 | 5〜15% | 設計費、登記費用、ローン手数料、税金など |
これらはあくまで平均値の目安であり、立地条件や敷地の大きさ、建物の仕様によって実際の費用は大きく振れます。
だからこそ、相場を参考にしつつ、自分たちの希望と予算に合った計画を立て、その範囲に収まるよう丁寧に調整していくことが大切です。
(出典:令和6年度住宅市場動向調査報告書)
(出典:家計調査(総務省))
5. まとめ
家づくりの費用は、建物と土地だけで完結するものではありません。初期費用に加えて、住み始めてからのランニングコストや、将来的に必要となる修繕まで含めて考えることで、ようやく「無理のない計画」が形になります。
平均値や相場はあくまで目安ですが、内訳を理解しておくことで、自分たちの優先順位を整理し、納得して選択できるようになります。
大切なのは、予算に合わせて妥協することではなく、「必要なところにしっかり投資し、不要な部分を削る」という考え方です。
今回紹介した全国・東京都の内訳や費用の目安を参考に、家族にとって最適な住まいの形を描きながら、安心して進められる資金計画を組んでいきましょう。
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まどりLABO編集部|代表 野口雄人

東大卒の設計士・一級建築士・エンジニアなどで構成。間取りが大好きなオタクたちの集団で、間取りが好きなあまり間取りをAIで自動生成できるサイトを作成しました。代表の野口は東京大学・東京大学大学院で建築学を専攻しました。
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